土曜日、

結局昨日も仕事が終わらず、今週末も仕事をすることに。
普段なら、自宅から見てオフィスとは正反対の方向にある港区エリアで執務をこなすのだけれど、今日はオフィスに行くことにした。目と頭を使う仕事が残ってしまっていて、どうせなら大画面が二つ使える会社で仕事をした方が、生産的だと思ったのだ。
だいたい誰かしらはいる週末のオフィス。今日も何人かは働いていた。それでも、片手があれば十分くらいの人数で、シンと静まり返ったオフィスは最高に集中できる環境だった。
そのせいか、11時頃から初めて、気が付いたらもう18時半前である。
今日は夕方前には切り上げて、新しい植物を探しに行こうと思っていたのに。全然そんな余裕がない。この時間からどこかに出かけても、夜が遅くなっちゃうだけだしなぁとそんな風に考えた矢先、一つの考えが浮かんだ。
「歩いて帰ってみよう」
そして、Google Mapで調べると、オフィスから自宅まで徒歩で2時間8分。20時半には着ける。ちょうどいいではないか!
そう思ったら即行動開始である。ササっと片づけてすぐにオフィスを出た。
会社があるエリアは、丸の内とか霞が関とか、いわゆるオフィス街というわけではない。どちらかと言うと渋谷方面である。駅前は大きな広場になっていて、ショッピングモールや映画館がある、でもちょっと歩けばすぐに住宅街になるような、そんな便利なエリアにある。
だから、土曜日の19時前なんて、もう小さい子供連れの親子で溢れかえっていて、どこか別の世界に来てしまったんのではないかと驚愕していた。
この驚愕は、この後も続くことになる。
この2時間8分の道のり。高級住宅街を幾つか通るのだが、何をどうすればこんなにでかい一戸建ての邸宅が建てられるのかと、そういう戸建てが立ち並んでいた。一通りは極めて少ない。多分、芸能人もこのエリアには多く住んでいるのだろう、そんなことを確か聞いたことがあった。
19時も過ぎれば、もうこの時期は真っ暗だ。だから家の中の様子が、窓から結構丸見えだったりする。
「え?汚くない?」「えええ、洗濯物が山になってる・・・」
外観は豪華そのもので、お家もお庭も大きな家なのだけれど、窓から漏れる光に誘われて中を見てみると、結構汚かったりする。このギャップにちょっとたじろぐ。
これだけではない。
人通りが少ないから、逆に誰かが道路に居ると目立つのだが、自宅の前でプカプカとタバコをふかしている人を発見。しかも、一人、二人ではない。
なんだろう、このギャップ。結局みんな同じ人間なんだなと安心するとともに、そうやって安心してしまう自分自身を客観的に見た時に、なんでタワマン文学が流行っているのか、ちょっと分かった気がした。
人生の勝ち組から垣間見える人間臭い部分や葛藤を見て、「ふふ」と、ほくそ笑みたいのかもしれない。
性格の悪い自分と、人間ってそういうものなのかなと妙に納得してしまった。
2時間8分は長いようであっという間だった。