火曜日、水曜日

こだわりの強さを見た。この一言に尽きる。
この2日間は、かなりハードで日記を書く余裕がなかった。
2日間TVCMの撮影だったのだ。一日目は青梅の方にロケに行き、二日目はスタジオに籠り切り。朝に大雪が降った昨日がスタジオ撮影の日で本当に良かった。
2日間ともに、8時開始25時終了という超過密スケジュールだったけど、何とかやり切った。
僕はブランドオーナー側として撮影されたものをその場で確認して、OKとかTake2とかの指示判断をする立場。だから、最初から最後まで基本的に現場にいなければいけない。ただ一方で、僕らがINする前から撮影舞台は現場INしていて、みんな朝5時とか6時から働いている。そしてもちろん、僕らが一番最初に帰るから恐らく帰宅は27時とか28時とかそれくらいだろう。本当に頭が下がる。
CMを流すブランド側として、最上級に良いものを追求したい、その姿勢は変わらない。ただ、「まあここの角度は大丈夫でしょう」とか「ここは編集で修正できるから大丈夫だと思います」とか、この業界に慣れてくるとそういう感じで、少しずつ妥協も出てくる。
一方で、毎回の撮影には、基本的に一期一会になる現場監督が存在し、彼・彼女にとっては、作る一つ一つが作品なのだ。
もちろん、クライアントがTVCMを作る目的を理解し、その目的が果たされるためのベストパフォーマンスを行うという命題があるのだけれど、それは踏まえたもので、美しいものを納めるという使命をおっている。
これまで会ってきた監督一人ひとり、こだわりの塊みたいな人で、美術セットを途中で追加したり、子供への演技指導に入ったり、昨日は猫をなだめるという偉業まで成し遂げていた。
今回ご一緒させてもらった監督は、まだ若手の女性の監督。藝大を卒業してから制作会社で修業し、独立した方である。
とても腰が低いのだけれど、話してみると、言葉の節々からこだわりが漏れてくる。
そんな彼女は、週1回はブリーチしないとそういう髪色はキープできないだろうと思うくらい、金色のショートヘアーで、びっくりするくらい細くて肌が白く、コンタクトの色が青である。
そして、手作りのブルゾンジャケットを羽織り、10本の指全てのネイルが違う色をしている超個性派。でも、ネイルの色が取れていることもなく、清潔感を保っている。
えっと、たぶん監督って6時半入りで昨日も26時終了くらいだった気がする。それでいて、洋服も昨日とはガラッと変わっているし、髪の毛も綺麗に整っている。
睡眠よりも美しさを大事にするということだろうか。
実際に、今回のCMはモダンな感じと、カメラをずっと回し続けるという少し特殊な撮影方法を取り入れており、女の子が好きな世界観を思い切り閉じ込めたCMに仕上がっている。この監督ではないとできないことだ。
「この角度ならまあいっか、じゃなくて、一番いい角度を探したい」
「朝撮ったやつが、やっぱり1日他の部分取ってみると繋がらなそうだから、もう一回取らせてください」
僕らに直接頭を下げに来るほど、すごいこだわりがある。
これでいい、じゃなくて、これが一番いい
こういう世界で戦っているのだろう。
僕らサラリーマンは、「これでいい」の連続だ。もちろん、常にこれが一番いいを追い求めたら時間がいくらあっても足らないし、最後は疲弊してしまう。
でも、頭からこれでいいを前提に動くのではなくて、これが一番いいを実現するにはどうすればいいか、ここをしっかり考えていきたいと思った。
最後はMonsterの缶だらけになった現場だったが、監督は常に美しかった。
今日の夕方から編集作業に取り掛かり、社長プレゼンへと持っていく。
「これはいいね」がもらえるように、頑張りたい。