土曜日、

自分一人でいる時と、だれかもう一人と一緒にいる時。この二つの状況間で一番異なるのは、歩くスピードだと思う。
「よく歩くの速いって言われません?」
今日言われたこの言葉を通じて改めて実感した。
週末をだれかと過ごすの久々だ。大学の時の友達が、オーストリアから日本に一時帰国しているから会うことになった。時期的にも桜シーズンでもあり、晴れていたらお花見がてら散歩もいいな、なんて思っていた。
しかし、なんだこの天気は。雨に加えて、ありえないほど寒い。金曜日までの暑さは一体なんだったんだ。
家の中は暖かったし、出かけるタイミングで雨は小雨になっていたから、薄手のジャケットを背負って出かけたのだが、完全に間違いであった。
外を歩いていても、寒くて寒くて仕方ない。そして足元は濡れている。
底冷えするようなこの寒さも影響したのだろう。気づかぬうちに、歩くスピードが速くなっていたようである。
「よく歩くの速いって言われない?」
会話の最中に唐突にそう言われて、僕はハッとした。図星だったからだ。
大学生の時も、社会人でも、そして家族といる時でも、僕はいつもそうやって言われ続けてきた。
脚が長いから、という風に返して躱してきたけれど、今日の友人は違った。
「一人で歩くときは、僕もそれくらい速く歩いてると思うけど、だれかと歩くときは、もうちょっと考えたほうがいいと思うよ」
さすが、関西出身かつ海外在住の友人だ。思ったことはズバッと言う。でも、これが結構グサッと来てしまった。
そして思った。全然だれかと一緒に歩く、ということをしていなかったということに。
今日、久々に一日中誰かと一緒に行動をしていたけれど、帰宅してから相当疲れている自分がいることに気が付いた。
根っこの部分では、僕は人嫌いで、常に一人で居たい人である。でも、だれかと一緒にいると、ついつい気を使ってしまいがち。だから疲れるのだ。
ただ、歩くスピードだけは、無意識過ぎて意識的に合わせることが出来なかったようだ。僕の素の部分が出てしまった。
月曜から金曜まで基本的には朝から晩までだれかと一緒にいる状態だから、土日くらいはやっぱり一人で居たいかもしれない。
そう考えると、やっぱり僕にとって、だれかと一緒に暮らすというのは、相当レベルが高いことであると改めて理解した。
でも、だれかと一緒にいることで、これまで気づいていなかったことに気づくきっかけをもらえたりする。
要は、バランスである。
人生って複雑だ。