HONEST

猫好き・植物好き・ラジオ好きの齢32歳。日々の学びや気づきを、文章とイラストで自由に記録していきます。

10月5日 視点の違い

日曜日、

 

 

今年は戦後80年のメモリアルイヤーである。政府機関を始め、報道やNGOなど、多くの組織がイベントを開催したり、特集を組んだりしていたことは記憶に新しいだろう。でも、こんなに戦後80年イベントを実施しているのは日本だけなのかもしれない。ふと、そんなことを思ったと同時に、この差は、国民性や視点の違いがら来るかもしれないと思った。

英会話レッスンを受けていた時の話である。

トピックはNGOの資金繰りについて。活動しているそのこと自体は素晴らしいのに、ここ最近は資金集めに苦労しているという話題だった。一つの事例としてあがったのが、ストーリーテリング。つまり、事実をそのままニュースのように伝えるのではなく、ドキュメンタリーにしたり映画にしたりして、ストーリーとして人々に訴えるという手法のことだ。ただ事実を淡々と伝えるよりも、人々からの共感を得やすいのではないかという考えのもと、アメリカのNGOを中心にストーリーテリングでの情報発信に力を入れているとのことだった。

このトピックについて話をしていた際、日本では何か事例があるかと講師に聞かれた。僕が咄嗟に思いついたのは、今年戦後80年を迎えた日本でのメモリアルイヤーとしての各種取組についてであった。

その話を聞いて、フィリピン人の講師は驚愕していた。第二次世界大戦というのは、日本だけの問題でなく、もちろんフィリピンにとっても関係があることだ。けれども、フィリピンでは特に80周年とか、そういうニュースはほとんどなかったという。

恐らく、原爆の直接的な被害を受けた敗戦国である私たち日本は、他の国と比べても突出して今年をメモリアルイヤーとして捉えていたのだと思う。でも、フィリピンでは、戦争についてのニュースは全然放送されていないというのは、少し驚きであった。

日本とフィリピンでなんでこんなに差があるんだろう?そんな話をしていた矢先、公私から出てきた発言に僕はハッとした

「たぶん、フィリピンは過去を振り返らないからだと思うよ」

彼女は続けた。

「もし過去を振り返ってしまうと、アメリカに対してもスペインに対しても、そして日本に対しても、私たちは寛容にはなれない。植民地化するにあたって多くの市民に危害を加えた歴史があるから。でも、私たちはアメリカ人も、スペイン人も、そしてもちろん日本人も大好き」

彼女の言う通りだと思った。僕らは学校の歴史でフィリピンの植民地化については学んだことがあるだろう。何度も侵略され、そして植民地になっている。戦争とは違うけれど、死にランクをつけられないことを考えれば、植民地化による犠牲も、第二次世界大戦による犠牲も、同じことだと思う。

私たち日本人は、未来も見るけれど、それと同じくらい過去も見る。東の方に浮かぶ島、黄金の国ジパングと、東方見聞録に書かれるくらい、その独自性と閉鎖的なコミュニティをずっと保ってきた日本。だから、過去から引き継がれてきたレガシー的なものを重視する姿勢が強いと思う。過去を見て、過去から学ぶ。それを未来に活かす、という風に考える人が多く、ベースとしてまず過去がある。

私個人としては、この考えに賛成だ。過去に生きた人の人生を無駄にしないためにも、現代に生きる私たちは過去から学ぶ義務があると思う。

一方でだ。

もし、その過去があまりにも悲惨なことばかり続くようなものだったら、過去に目を向けたいと思うだろうか。僕は、そう思わない。思い出す度に辛くなるからである。

フィリピンにも歴史を学べる箇所は多くあるし、歴史的な街並みが残っているエリアも存在している。僕がフィリピンに住んでいた時も、一度はそこに行くべきだよと現地の大学の先生に言われたことがある。多くの石碑の中に刻まれていた過去の惨事は、正直知れば知るほど辛くなるものばかりだった。

知れば知るほど辛くなる過去にずっと引きずられて生きていくよりも、これからの未来を良くするために過去を振り返らないという選択も、確かにありだと、改めて思う。

ただ、本当に未来を見ているのかというと、少し疑問に思うところもあって、どちらかというと、今この瞬間だけを見ているような感じもするのだ。宵越しの金は持たないではないけれど、とにかく今を楽しく生きようという雰囲気が伝わってくる。

視点の中心を過去に置くのか、今だけにフォーカスするのか、未来からの逆算なのか、国民性や価値観によって異なると思う。どれが悪くて、どれが良いということではない。

ただ、大切なことは、どこに視点の中心を持っていったとしても、そこを起点にして真っ当に生きていくということなのかなと思った。

こういう異文化交流が、とても簡単に、予想もしないタイミングで出来てしまうから、英会話は本当に楽しいと思う。