日曜日、
「ただ、自分が救ってもらったように、僕もだれかを救いたいだけなんです」
朝日新聞とSpotifyが共同で企画・実施しているPRIDE CODE。僕がいつも聞いている朝日新聞ポッドキャストは、LGBTQ+の人達が抱える問題や葛藤について、アンバサダーの方々をゲストの招きながら、声の力で世界を変えようという取組を行っている。
冒頭のコメントは、そのアンバサダーの一人であり、ミュージシャンのAisho Nakajimaさんの言葉だ。
Aishoさんは、番組のホストから「どうしてそこまで音楽に一生懸命になれるのか」と問われた際、冒頭のように答えていた。
彼はクィアアーティストとして、今は海外を中心に活躍するアーティストであるけれど、学生時代は毎日生きることに疲れていたという、17歳の時にカミングアウトするまでは。
6歳離れていた姉に、自分がゲイであることをカミングアウトしたのが17歳。きっかけは、生きるか死ぬかの瀬戸際まで精神的に追い込まれていたから。
カムアウトした時は緊張したけれど、彼の周囲は全くその後も態度を変えずに接してくれて、それが本当に救いだったという。
それでも性的マイノリティとして生きることは、決して簡単なことではなく、常に生きづらさを感じてきて、それは今も続いている。
そんな中でも、彼をずっと支えてくれていたのが、音楽だったという。彼は小学校の途中まではホームスクールとして家庭で勉強をしており、全て英語だったとのこと。
その影響もあるのか、彼の音楽は全て英語の音楽になっている。
非常に独特な世界観ではあるけれど、でも自分を救ってくれたビートを、自分もちゃんと届け続けていきたいという強い信念。
アーティストになりたい、というよりも、今度は自分がだれかを救う番であるという言葉が印象的であった。
翻ってこの社会。基本的に、あなたがなりたい職業はなんですか、とか、何の仕事に就きたいですか、とかそういう風にキャリアについて聞かれることが多い。別にそれ自体は普通なことだし、変なことではない。
でも、仕事って誰かの役に立っているからこそ、その対価としてお金をもらっているものだと思う。そう考えた時に、自分たちのキャリア選択の時には、何をしたいかではなくて、誰の何を救いたいのか、助けたいのか、貢献したいのかっていう風に考える必要があるんじゃないかな、と思った。
学生時代はお金もないし、狭い社会だし、それはそれで辛いことがたくさんある。でも、社会人になったらなったで、政治や理不尽、責任が付きまとってきて、潰されそうになってしまう時もある。
そういう時に、圧し折られずに這い上がることができるのは、自分がそうしてもらったように、自分も誰かを救いたいという強い思いなのかな、と思った。
このPRIDE CODEはLGBTQ+に焦点が当てられているけれど、決してそこだけに留まらず、何のために仕事をするのか、どうやってこれから生きていきたいのか、を考えるきっかけにもなると思った。
おすすめだ。
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