日曜日、
「有給とか、ぶっちゃけ当時は、あってなかったようなものだったんですよ」
僕が通っているヘアサロンの店長が教えてくれた。
月一回通っているヘアサロン、1月は今日がその日だった。話題は年末年始について。理容美容業界は、年末が一番忙しいという。今年は、コロナ禍前くらいのレベルまで客の入りが戻り、懐かしさを覚えつつ、店が休みだった三が日は、文字通り一日中寝ていたという。
ただ、この大変さも新社会人の時と比べたら、遥かに楽だと教えてくれた。
この店長と僕は同い年。ただ彼は専門学校卒だから、僕よりも数年ほど社会人になるのが早かった。北海道から上京して都内を中心に展開するチェーン店に正社員として就職。初任給は額面上17万円ほど。そこから諸々引かれたら、手取りは本当に少ない。会社の寮だったから何とかやっていけたけど、遊ぶお金は一切なかったらしい。
朝は6時半に店舗に行って清掃。それから9時まで練習。9時半から朝礼を行い、もう一度店舗を掃除して11時開店。そこから夜の9時まで働く。3日働いて1日休み、というスタイルだったけど、その1日はもう一日中寝ていたという。
それでもお金欲しさに休暇を7千円で買い取ってもらい、出勤したという。当時一緒に入社した同期の中には、もう理美容業界でも働いていない人もいるとのこと。この業界でちゃんと稼いでいくためには、自分で店舗を持つしかない。そのために、自分のスキルを上げることと、顔と名前を覚えてもらうこと。だから休日を返上して働いた。そういう会話をしていた時に、冒頭に書いた言葉が出てきたのである。
今彼は独立して銀座や日本橋エリアに店舗を構えている。
まず彼の体力がすごい。そしてバイタリティがすごい。仕事人間の彼のプライベートを聞いていると、まあなかなかハードボイルドな生活をしている。それでも元気に働けているから、やっぱりこういう厳しい試練を乗り越えられる素質があったのだと思う。
人は簡単に死ねないから、無理だと思ったことに対して、ずっと耐え忍んで継続するということは難しい。それは決して悪いことではないと思う。一人一人、性格も、体力も違うのだから、同じ試練を与えられて、乗り越えられる人、乗り越えられない人が居るのは当たり前だ。
だから、例え乗り越えられなかったとしても、絶対に自分を責める必要はない。必ず自分にあった進むべき方向があって、自然とそこに導かれていくものだと思う。
結果が伴わなくても、そこまで出来ることをすべてやってきたのであれば、それはもうそういうことなのだ。もっと自分が輝ける場所があるかもしれない。
一方で、結果が出た時に、もっとできたと思う人もいるかもしれない。それはつまり、あなたにはまだポテンシャルがあるということなのだから、もう一度挑戦すればいいと思う。人生は長い。
昨日、今日と共通試験が実施されていたと思う。
もし良い結果じゃなかったのなら、もう一回頑張るか、それはそれとしてそのまま受け入れるか、全然違う道に進むか、選択肢は幾つかあると思う。
でも、結果が分かって初めて次の道に進める。そして、どの選択肢にも必ず試練は待っている。
ただ覚えていてほしい。今日紹介したヘアサロンの話のように、その試練を乗り越えられる人もいれば、交わして違う道に進む人だっている。
大丈夫、神は乗り越えらる試練しか与えないから。
だから自信を持って、ここから1か月・2か月やり切ろう。
約15年前に受験生だった自分、そして応援広告のような仕事に携わっている今の自分、サロンの店長の話、こういったことから考えが膨らんだ一日だった。