土曜日、

年明けから祖母が入院している。三が日を過ぎたあたりから蜂窩織炎の症状が出始め、歩けないほどに両足が腫れあがってしまったのである。
1月5日に病院に行き、そのまま入院となった。必要なものはとりあえず持ってきたものの、家の中が片付いていないし、脚から漏れた体液で床が汚れているとのことで、母と父が祖母宅の掃除をしに行った。
「あ、これ居るわ」
扉を開けてすぐ、母はそう感じたらしい。入院したのが1月5日。それから約1週間後に訪れた祖母宅。この真冬に7日間も家を留守にしていたら、普通なら空気が乾燥し、ガランとした雰囲気が漂っていることだろう。
それが全くもってそんな雰囲気がなかったという。さっきまで誰かが暮らしていたような、そんな生活感プンプンだったらしい。
間違いない、既に高いしている祖父が帰ってきているとすぐに分かったとのこと。
母は昔から霊感がある。そしてそれが僕ではなく姉に引き継がれた。母は心臓が止まった状態でこの世に生まれて、生死を彷徨いながらなんとか一命を取り留めた。だから持病を複数抱えており、学生時代は何度も入院生活を送っていたらしい。
名前は伏せるけど、僕が中学生の頃に家族で行った那須のとあるホテル。母は何がなんでもエレベーターに乗らなかった。
居るから、良くないのが。と言っていた。さすがにこの時は背筋が凍った。
母があの人死ぬかもっていうと、本当に死んじゃったりするから、そういうことも誰にも言わなくなったっていうのを聞いたこともある。
そんな母だから、祖母宅の扉を開けた時、祖父が居るっていうのが一瞬で分かったという話も、僕はそうなんだ~くらいの感じで聞いていた。
祖父は祖母が大好きだった。でも、祖父も祖母も、僕の母や僕と同様に、本当は1人で居るのが大好きな人だったのは知っている。そんな祖父だから、いま祖母が入院して、自分の好きなように家で寛げるって思ったのかもしれないね。そんな風に母は話していた。悪い気は漂っていなかったらしい。
もう少し、祖父は1人でフラフラしていたいから、たぶん祖母はまだ他界しないだろう。そんな雰囲気も分かるらしい。ただ、もう97歳だから正直分からないけど。
でも、いつまでたっても祖母の家に来てこの世をフラフラしているなんて、一人が好きな祖父だけど、やっぱり祖母のことが心配なのかもしれない。
もし僕が入院とかして家を長い間留守にした時、だれか寛ぎに来てくれる霊はいるだろうか。たぶん祖父は来てくれると思う。
だから、いつ祖父が来てもいいように綺麗にしておこうと思った。
この世とあの世は意外にも繋がっている。
ああ、だから僕は昔から死というものが別に怖いものと思っていないし、一番心が落ち着く所に、墓地って昔から書いていたのかもしれなかい。
このブログを書いている時も、きっと僕の頭上には祖父が居て、
「変なこと書いてるんじゃないよ~」って頭をたたいているかもしれない。
いや、祖母宅で一人でゆっくりしてるのかも。