HONEST

齢31歳。音声コンテンツ好きの僕が、日々の学びや気づきを、文章とイラストで自由に記録していきます。

6月30日 PM6時30分

日曜日、

 

 

夏だったらまだ明るい、冬だったらもう真っ暗。夕方から夜に突入しかけているタイミング、それがPM6時30分だと思っている。ちょっとだけ夜に足が入りかけたこの時間に、個人が置かれている今の環境が色濃く滲み出ていると思う。

繁華街、住宅街、ビジネス街、観光地、などなど。全てがギュッと凝縮されている街、ここ東京。

この時間帯に歩いてみると、人生模様が見えてくる。あくまで個人の見解だけど、東京は統一感を求められないから、それぞれがそれぞれの行き方をしていて、そこまで互いに鑑賞していないと思う。だからこそ、無限のドラマが見れるのだ。

 

少し雨が降り始めていた17時過ぎ。僕は有楽町線に乗っていた。普段は行かない場所で野暮用があり、恐らく1年以上ぶりに乗車した。いつものように座席には座らず、ドア付近で寄りかかりながら本を読んでいた。

とある駅で降車した家族。ベビーカーを押していたから、赤ちゃんがいっしょだったのだろう。ゆっくりと気を付けて歩いている。本を読みながらも、左目ではそんな光景が捉えられていた。

その歩みが次第にもっとゆっくりになり、そしてドアが閉まりかかる直前に、僕の名前が呼ばれた。

ふと顔を上げると、前職の時の同期だった。彼とは部署は一度も同じになることがなかったが、同じオフィスで5年ほど通った仲で、住んでいた最寄り駅も同じだった。

2022年の夏ぶりだから、丸っと2年ぶりだ。

もうドアは閉まっていて、どうしようもないが互いに表情で会話をしていたら、彼が指で合図をする。彼の子供とパートナーさんである。

今はこんな感じで暮らしてるよっていう、そういうメッセージだったのだろう。

2年前は彼にはお付き合いしている方もいなかったはずだから、この2年で劇的な変化だ。

彼はどちらかというとアウトドア派で、日曜日だったとしても普通に終電まで飲んでいたり、朝帰りとかをしちゃうようなそんなタフな人だった。それが、時刻はまだ17時過ぎだというように、きっともう帰路につくのだろう。

そう言えば、手に入っていた袋から野菜がちょこっとはみ出ていた気がする。

きっと、家に着くのがちょうどPM6時30分くらいなのだろうと思う。

彼は今、パパとしてのPM6時30分を過ごしているのだ。2年前の彼にとっては、PM6時30分は、出かける準備をしているようなそんな時間だったのだと思う。

 

僕にとってのPM6時30分。平日なら、一番疲れて眠気が襲ってくる時間。定時の18時が終わって会議もなくなり、一気に疲労が襲ってくるのだ。ここから始まる残業に向けて、カフェインを入れるタイミングだ。

週末の僕なら仕事を終えて買い物に繰り出すタイミングである。

マネジメントをする立場として過ごす今のPM6時30分は、僕自身においても2年前とは全然違っている。当時のPM6時30分はランニングに行っていた時間だと思う。もしくは、再開したサックス教室のレッスン中だったかもしれない。

同じ人間でも環境や年齢が変わると、これだけ過ごし方が変わる。

 

僕も、今日久々にあった彼も、金曜夜に一緒に飲みに行った同僚も、みんなアラサーだ。この前出席した大学の同級生の参列者も、多くがアラサーである。

独身、経営者、大学院生、同棲、夫婦2人、子持ち。中には、いわゆるマイノリティも僕の周りにはいる。アラサーというこのタイミングほど、グラデーションの幅が広い世代ってないと思う。

だからこそ、この世代が過ごすPM6時30分。今置かれている状況が色濃く出る時間だ。

 

もし僕がまだ地方に住んでいたら、この世代になったら家庭を持ち、親になっていることが当たり前とされるかもしれない。

でもこの街は、どういう立場の人も、どういうポジションの人も丸っと受け止めてくれる感じがして好きだ。

 

あなたにとってのPM6時30分は、どんな意味を持っていますか?