HONEST

齢31歳。音声コンテンツ好きの僕が、日々の学びや気づきを、文章とイラストで自由に記録していきます。

6月29日 居場所

土曜日、

 

 

「今日これから行けます?いま改札で10分の電車乗りますけど」

日時は、6月28日金曜日の22時5分。ちょうど一息ついてこの日記を書いていた時間だった。

仲良くしている会社の同僚からのチャットが届く。そういえば帰り際にこっちをチラチラ見ていた気がしたけれど、どうやら何か企んでいたらしい。

 

目的地は会社から2駅離れたところにある、こじんまりとしたワインバー。会社の最寄り駅は、それはそれはコンクリートジャングルなのだけれど、2駅離れると途端に住宅街になる。

以前彼はそこの駅が最寄りのマンションに住んでいた。その時に知ったバーだという。前に一緒に飲んだ時に、今度誘いますわと言われていた。

 

6月28日金曜日。この月末と週末が重なるタイミング。役割的に週報や月報、メンバーの勤怠〆や残業チェックなどもやらなければいけない。まあそれをやらなくても、あと5分なんか到底間に合わない。ということで、一度はごめんと断った。

「了解です!おつかれでした!」というチャット。彼のこういうサバサバしたところが好きだが、なんか引っかかるものがあった。

22時40分。一応彼に連絡をしてみる。するとすぐに返事があった。

「お!来れる?了解!地図送る!」

やっぱり来て欲しかったのかなぁと思った。まあ金曜日だし、今週は木・金と寝坊&会議で朝昼食べれなかったし、ちょうど何か食べたいと思っていたしというのも相まって仕事を切り上げてワインバーへ向かう。

 

「〇〇ちゃん、いらっしゃい!こんな時間まで仕事お疲れ様でした。予約って書いてあるところの席、座ってね」と、中に入るや否や声をかけられる。ちょっと圧され気味になるも、このウェルカム具合が妙に心地よい。

お店についはのは23時10分くらいだったかな。中には彼ともう一人先客がおり、その方はお会計をしようとしていたところだった。

彼とその方は初対面だったらしいが、普通に話していた。夫婦二人でやっているこのお店、なんだか本当に心地が良い。

 

それから、白の泡のワインから始まって、おつまみ、サラダをつまみ、赤ワインに変えて砂肝のコンフィを頂く。彼が食べていた夏野菜の素麺もちょっともらう。

お世辞ではないのだが、久々においしい食べ物を食べたと思った。

まずこの白のスパークリングワイン。軽い口当たりでどんどん飲めてしまう。最初の一杯にはもってこいで、僕は二杯目も同じものを頼んだ。

おつまみも、目の前で手作りで全部作っている。ありがたいのは、野菜がふんだんに使われていることだ。

ズッキーニとベーコンのハサミソテー、ラタトゥイユ白だしガーリック風味の枝豆、ヤングコーンの生ハム巻き、明太子&ホタテのソースのサラダ、砂肝とたっぷり野菜のコンフィ。

前職は食品メーカーで業務用営業もやっていた僕からしたら、業務用食品を使っているかどうかはすぐにわかるのだが、この店は使っていない。だから美味しい。

 

そしてこの雰囲気。まるで何度も通ってるところみたいだ。0時前になって、もう一人客がやってくる。ビストロで働いているシェフ兼ソムリエで、仕事帰りらしい。会社から遠くもないし、水曜の夜はラフな雰囲気だから是非来てよと言われて名刺をもらう。それから色々と話が弾んでいく。

気づいたら終電の時間。あっという間だった。

「〇〇ちゃん、〇〇ちゃん、また来てね、おやすみね」と夫婦二人でお見送り。

 

改めて考えた。

この雰囲気を作っているのは確実にお店側ではあるんだけど、でもここまで良い時間を過ごせたのは、誘ってくれた彼のお陰だ。終始彼は、お店のオーナー夫婦から話しかけられていて、絶大な信頼を得ているようだった。

このお店で主催している貸し切りパーティーとか、ワインの仕入れ会兼試飲会とか、そういうのにも参加しているという彼。実は、ここに通うようになってワインを勉強しているらしい。そりゃあ、オーナー夫婦からしたら可愛くてしょうがないだろうと納得。

 

飲食店は特にだけど、僕はどうしても心の中で自分は客だと思ってしまう節がある。別に横柄な態度を取るとかは全然なくて、ただあくまでビジネスの関係性だというライン引きだ。

ただ、そうやってどっかドライに線を引いている限りは、自分にとっての居場所って作れないんだと思った。

 

誰にでも居心地がいい居場所があるっていう常套句があるけれど、本当はそうじゃなくて、居場所は自分から働きかけてそこを居場所にしていくんだと思う。

 

誘ってくれた同僚に本当に感謝したけれど、同時に悔しさと尊敬を抱いている自分が居た。