水曜日、ただ今日はいつもとは違う水曜日。
この春から放映するTVCMの撮影立ち合いのため、朝からスタジオに入ってずっと現場に出ていた。一応、香盤表では、今日の終了時刻は21時となっていたが、絶対に終わらないと思っていた。
というのも、前回の冬シーズン向けTVCM撮影も、22時終了予定だったところ、実際は1時になってしまったからだ。
ということで、朝はエナジードリンクをごくっと飲んで気合いを入れていった。
実際撮影が始まると、予想以上に順調に進んで1時間押しくらいの状況になっていた。もしかすると、予定よりも1時間遅れているということは、一般的には充分遅いと捉えられるかもしれないのだけど、僕からしたら全然順調の範囲内だ。
19時の段階で、残り最後のラストカットが残っており、予定ではここの撮影に1.5時間かけることになっていた。しかし、ここで事件は起きた。
今回担当してくれている監督さんの、このラストカットにかけるこだわりが尋常ではなく、最初は美術スタッフにディレクションしていたものの、途中から自分が入ってセットをいじり始めた。
そのラストカットには、リボンが一つのモチーフとして出てくるのだが、そのリボンのらせん具合、リボン同士のカールの角度、向き、太さのバランスなど、ちょっと手で触れただけでずれてしまうような、繊細な修正を監督自らこなしていた。
10分経過、15分経過、30分経過、、、。
周りのスタッフもちょっと焦り始め出した。
45分ほど経過して、「はい!撮影します」の掛け声。
クライアント側としてチェックしたそのラストカットは、なんとも美しいものに出来上がっていた。まるで一枚の絵画である。
このラストカットが終了した時点で、時刻は23時。前回よりは遅くならなかったけど、それでも2時間遅れである。ただ、僕はこの監督のこだわりの姿勢にいい意味で刺激を受けた。
今回のリボンの部分、正直デジタル編集でも修正は可能な部分だ。そこを敢えて、極力デジタル修正を使わないように、リアル感を出したいというのが監督の意向であった。
色々なクライアントがいるかもしれないけど、僕はこういう姿勢に感銘を受けた。
監督は今朝5時から現場入りしており、僕らが帰った後でさらに撮影するパーツが残っているという。24時間勤務だ。
時間を忘れて何かに取り組んだこと、最近ありましたか?
情熱、こだわり。
かっこいい。
おやすみ