HONEST

齢31歳。音声コンテンツ好きの僕が、日々の学びや気づきを、文章とイラストで自由に記録していきます。

9月3日 明日のことなんか、気にならなかった時代

日曜日、

 

 

今日も昨日に引き続き、吹奏楽コンクールの西関東大会をライブ配信で視聴した。

今日は高校Aの部。吹奏楽コンクールの一番の華の部門だと、個人的には思っている。

 

考えてみれば、2020年度の吹奏楽コンクールは中止、2021年度は無観客、2022年度は結果発表はオンライン。コロナの影響をダイレクトに受けてきた、それが吹奏楽コンクールだ。

今年からは結果発表まで、現地の会場で行われて、かつ「ゴールド金賞」と言われた際に、歓声をあげることが解禁された。いま高校生の世代というのは、自分たちが中学生の時に、行動制限を大きく強いられた世代だ。だからこそ、かける思いも一段と強いだろう。

 

17:35分。表彰式が始まった。挨拶から始まり、早速結果発表へと移る。

結果は以下の通り。


金賞の中の代表3校は、埼玉栄、伊奈学園、春日部共栄、どれも常連校だ。

演奏を聴いて思ったのは、特に埼玉栄と伊奈学園は、ちょっと別格だったということ。

まるで宝石のような演奏だった。

人それぞれ好みの音楽は違うと思う。一方で、誰にとっても心地の良い音楽というのも存在する。

盛り上げるところで盛り上がり、抑えるところで抑える。

揺さぶるところでしっかり揺らし、ためるところは丁寧にためる。

 

この2校の演奏は、原石が持つ本質的な輝きは残しつつ、削って削って、そして磨いて、丸くなった、まるで商品としての宝石のような演奏だったのだ。

 

もう10年以上前になるけれど、同じ大会でこの3校の演奏は生で聴いたことがある。正直、感想がなかった。というのも、まるで模範演奏のように完璧だったからだ。

 

実は、僕が中学生の時まで住んでいた家の、ちょうど目の前に住んでいたご近所さん。そこの長男が、伊奈学園でチューバを担当していた。

朝は5時台に家を出て、夜は11時近くに帰ってくる。本当に大変だ、という話は聞いていた。

言っていたのは、練習しても、練習しても、練習しきれないくらい、練習しているとのこと。そんだけ練習していたら、普段の練習も本番も、もうあまり変わらないんだろうなと思った。

 

僕もそれなりに吹奏楽が強い(というより、勉強よりも部活に力を入れている)高校に通っていて、年末年始以外は基本、朝・昼・夜毎日練習があった。

 

高校三年生の夏。どれだけ早く引退となっても、8月前半。つまり、大学受験は相当厳しくなるということは想像できていた。だから、推薦一直線で毎日少しずつ勉強。

 

4時半に起きて、勉強して、6時過ぎに家を出て、返ってくるのは9時半ごろ。ご飯食べて寝て、また4時半。

 

正直、しんどいと思ったこともあった。ただ、無我夢中だった。

いつもピンと張った糸みたいに生きていたから、感情的になることも多く、人生で一番泣いたのも高校生の時だった。

悔しさと、苛立ちと、絶望と、あとちょっとだけ望み。こういうのが綯交ぜになって、大きなタオルを涙と汗でぐちょぐちょにしたこともしょっちゅうあった。

 

ただ、明日のことなんか、もう気にしていなくって、ただただ今だけを走っていた。

 

だからだと思う。最後の大会が終わった時、ふっと肩の荷が降りた瞬間。なんかもう、涙は出なかった。

 

「走ったなぁ~、みんなありがとう」って。

 

本当に文字通り、大会が終わって楽器を運びに学校に戻って、夜12時近くに、校舎と部室の間の道路に仰向けで寝ころんだ。

隣には同期も後輩も居た。

埼玉の町中っていうこともあって、星はそんなに見えなかったけど、でもいつもよりは全然見えた。

 

その時だって、明日のことなんか、気にならなかった。

 

いつからだろう、明日の体力を気にするようになったのは。

いつからだろう、明日のために今日を使うようになったのは。

 

もちろん、もう学生じゃないし、抱えている責任だって大きい。

 

でも、今に集中して生きたら、少しだけあの時の風を感じられるかもしれない。

 

明日からまた一週間が始まるけれど、明日のことより、今を感じて生きようと思った。

 

こんな感傷的な気持ちになっていたら、コブクロの「同じ窓から見てた空」を思い出した。

この曲、ちょうど高校生~大学生くらいの時に聞いていて、何回泣いたか分からない。

その時に思い出していたのが、あの時、仰向けになりながら見た夜空と、感じた夜風だった。

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