火曜日、
朝はこんなに冷えるのに。
日中になるとジャケットを着て少し外を歩き始めると、少し暑く感じる。
邪魔になったジャケットをかかえようと思っても、他にも荷物がたくさんあるから、なかなか収まりきらない。
そして移動、移動、また移動。
きづいたらもう夜だ。
部屋を出る。
え、寒くない?そう思ってジャケットを羽織る。嵩張るんだよな、ジャケット。
そう思いながらも、歩き出していく。
今日ぐらい朝晩の寒暖差が大きくなると、思い出すのはジャケットを着ながら、楽器を背中に背負って通った学生時代。
吹奏楽部は、卒業入学シーズンも大忙しだ。アンサンブルコンテストがひと段落つくと、ソロコンがあり、そして卒業や入学系の式典がある。
春は忙しいのだ。
いつも楽器を背負いながら、それでいてコートも羽織っている。でも脱いだり着たり、そして移動がたくさん。
ストレス。
でも、結局誰かのために演奏するその時がとっても気持ちよくて、なんだか嬉しくて、そして感動して、ああ、この数分のためにそれまでの、そしてそれからの長い日々を励んでるんだよなぁと、楽器の運搬をしている時に目にする校舎の剥げた壁と、独特の臭いに感傷に浸る。
こういう気温になると、そういう青春を思い出す。
当時、そして今も吹奏楽コンクールの中で最も偉大な課題曲と言われている中の一つ、「さくらのうた」。僕が高校卒業して、後輩の卒業コンサートで聞いた曲だ。
コロナ禍で演奏されたリモートスタイルのこの演奏は、見事に美しい。
当時を思い出しながら、今日は床に就く。