HONEST

齢31歳。音声コンテンツ好きの僕が、日々の学びや気づきを、文章とイラストで自由に記録していきます。

9月2日 わたしの音、みんなの音

土曜日、

 

 

ここ最近の週末の楽しみは、溜まったポッドキャスト番組を聞き続けることだ。

音声コンテンツが大好きな僕にとって、気軽に聞けるvoicyと、読書のように隙間時間で触れ続けたいAudibleは、平日に楽しんでいる。

シリアスなものから、クスっと笑ってしまうようなものまで、幅広く展開しているポッドキャストは、頭を空っぽにできる土日にピッタリだ。

 

さて、更新リストを確認。その中で、僕の目が最初にとらえたのは、朝日新聞ポッドキャスト番組の一つ「メディアトーク」の更新。吹奏楽に関する内容のようだ。

朝日新聞吹奏楽コンクールの主催企業で、定期的に吹奏楽に関するコンテンツを発信してくれている。

僕は、中学、高校、そして大学の途中まで、吹奏楽とビッグバンドをやっていたということもあって、吹奏楽系のコンテンツは無視できない質なのだ。

 

open.spotify.com

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番組自体の内容はともかくとして、聞いていて「おおお!」となったのが、最後のお知らせの部分。

なんと、支部大会の一部の日程が、無料でライブストリーミングで見れるとのこと。

昨年までは有料だったのだが、今年から一部無料にしたらしい。

 

早速詳細を検索。そしてビックリ。今日・明日の西関東大会がその対象とのこと。

西関東大会、何を隠そう、経験者である。聞くしかない、ということで早速拝聴。

今日は、中学校Aの部だった。

 

「中学生でこんだけ吹けるってすごいなぁ」と思いつつ、ある学校の演奏が気になった。

 

具体的な学校名は伏せるが、そこは課題曲に4番の「レトロ」、

自由曲に「歌劇 「カヴァレリア・ルスティカーナ」 より」を選択していた。

 

両方に共通するのは、トランペットとアルトサックスのソロがあることだ。

 

「レトロ」、この曲は課題曲の中でも異端児と言えるくらい、変わった曲。マーチのようなクラシックが一般的な課題曲が多い中、J-POPの曲調。JAZZの要素も、ムード歌謡みたいな要素も入っている。

 

これを見事に吹き切っていたソリストが、トランペットのソリストなのだ。中学生とは思えない音色(おんしょく)と、抑揚のつけ方、そして何よりびっくりしたのは、吹きながら会場全体を見回すように、ホールも観客も自分の世界に連れ込んでいる。

 

このソリストは自由曲の方でも、ソロを吹いたのだが、哀愁漂う旋律を、これまた見事に吹き切っていた。

 

彼女の音は、まるで深夜のバーのような、煙がかった紫色の雰囲気を持ちながら、沈みかけた夕日の赤とオレンジが混ざった切ない朱色のような、そんな色をしていた。

 

一方で、アルトサックスのソリスト。彼も音自体はとても綺麗で、素直だなぁと思った。

ただ、僕が受けた印象は、「迷っている」というものだった。そして、音にも色がないのだ。白でもなく、黒でもなく、透明という感じ。ガラスではなくて、アクリル板のような透明さ。

 

さらに、実はソリスト以外の他の奏者に関しても、みんな自分の色を探しているような、そんな「迷い」「戸惑い」の表情をしていた。

 

何が正解かは分からない。

 

ただ、吹奏楽は個人プレーではなく、団体プレーだ。一人が哀愁を漂わしていても、他のメンバーが、アクリル板のような無機質であれば、統一感は消えてしまう。

一方で、飛びぬけてうまい奏者がいなくても、統一感があると、大木のような太さと重厚感を伴って、一つの色を発している。

 

結果的に、僕が注目した団体は銀賞で、ここで終了(西関東大会は、支部大会で最も熾烈な争いということもあり、この大会で銀賞取ってるだけで、すごい)。

 

実は、高3最後の大会で、個人的に同じような経験をしており、それもあって目に留まったのだ。

 

わたしが美しいと思う音、そしてその音が纏う色と輪郭。一方で、団体として表現する音の色と、そこに漂う色と輪郭。

 

皆で同じ風景を頭に描かないと、どうしても統一感は生まれない。

 

吹奏楽って、いくら練習しても、最後技術ではカバーできないっていうところが、とても深いなぁと改めて思った。