水曜日、
久々の感覚。CM撮影の話である。
グローバル展開をするようなブランドだと、会社にクリエイティブディレクターが存在していることが多い。今務めている会社もその一つで、どのプロモーションにおいても、グループ横断で一人の人が最終監督に入っている。
こういう人が居ることのメリットは、統一したブランディングイメージを作り出すことができるということである。会社が大きくなればなるほど、多くのサービス、多くの部署がある。それぞれがやっていることはバラバラだけれど、一つの屋号の下で事業を行っている。
そういう時に、会社全体、グループ全体で、対顧客・対生活者に対して共通のイメージを作っていけるという点は、大きなメリットだと思う。
一方でデメリットもあって。それは、鶴の一声現象である。もちろん、細かく、こうしろ、ああしろみたいなことは言わないけれど、こういう方向で、こういうテイストで、と言われると、それに逆らうことは非常に難しい。
ただ今作っているCMは、この人の監督外にある。これまでは、本当に分かりやすさだけを重視して作ってきたけれど、今回はそこに感動や共感を入れ込んでいる。
正直、この会社に入ってからは、こういうCM制作を担当できていなかったから、久々のテイストにワクワクしている。
そして今日はその撮影日。山奥でのロケ。撮影クルーがキャストを撮影しながら、同時にモニターでチェックする。
この日差しの感覚。女性の表情。子供の笑顔。
ああ、なんかこういうものが本当は撮りたかったんだよなぁと、涙が出そうになった。
CMは、その結果、商品やサービスの知名度が上がったり、売れたりしないと意味がない。だから、自分が良いと思うCMを作ることは、自己満である。
ただ、全ては自己満から始まると思っている。
こういう感覚を経たのちに、他者がクリエイティブの監督となる中で制作を行い、自分との違い、逆に相手の良さみたいなものが分かる。同時に、クライアントや生活者が何を求めているのか、どういうところに共感するのか、みたいなところも自分の中にある基準と比較できる。
まずは自分が好きだなぁと思うものを作るところから、始まるのかもしれない。