HONEST

猫好き・植物好き・ラジオ好きの齢31歳。日々の学びや気づきを、ちょっとだけ得意な文章とイラストで自由に記録していきます。

7月14日 演じることについて

日曜日、

 

 

『ストイック』

僕の事を周囲の知人が表現する時に、よく使う表現である。外れではない、と我ながら思う。今、目の前にある課題に対して全力で取り組むことが得意、というか取り組まない方が難しいと感じてしまうくらいである。取り組んだ結果、成果としてはどうなのか、ということは一旦なしで考える。

努力して何かをやり続けること、頑張り続けることが僕は得意だ。いつからそうなのか、ふと振り返ってみると高校生になった時からだと思う。公立高校にありがちな、国公立大学絶対説を体現したような高校だったから、常に勉強していた気がする。それでていて、強制的に全員部活加入制だったこともあり、もう勉強と部活しか記憶がない、それが僕の高校生活だった。

 

なぜこんなに頑張れたのか、そして今も頑張れるのか。それは、目の前にことにとにかく全力で取り組んでいると、それ以外のことを考えなくて済むからだ。

自分が好きだと感じること・もの、興味をそそられること・もの、こういったことに一切振り回されなくなるからだ。それは、本当の自分自身を葬り去るのに、ちょうど良いのである。

ちょうど高校生になった時くらいからだと記憶している。自分は、女性に対して恋愛感情を抱かないんだと感じたのは。それと同時に、別に男性とも恋人関係になりたいわけではない、ということも実感し始めていた。

早熟ではないと思うが、中学校を卒業する時に付き合っていた女子生徒との経験、高校3年で部活を引退する時に関わった男性との経験、どちらもしっくりこなかった。

でも、高校生、それから大学生というのは口を開けば恋愛の話が出てくるようなタイミングである。

全く共感できない話題に対して、ただ適当に相槌を打って返していた。

「〇〇は勉強もあるし、部活も毎日だし、今それどころじゃないよな」

次第にこういう虚像が出来上がっていた。別に勉強をそんなに一生懸命したいわけでもない、部活はむしろ先輩が嫌いでやめたいと思っていたくらいだ。

でも、何でもストイックに頑張る人という役を演じることは、本当の自分を隠すのにはちょうど良かったし、何なら心地よくもあった。

僕の親も、僕に色恋沙汰の話がないことに対して、全く同じように、

「今はそんな余裕ないもんね。人生でそういう3年間があった方が、むしろ思い出になるよ」と、僕に語り掛けてきたことがあった。

 

この時に、もう一人のだれかを生きる生き方に覚悟を決めた感じがした。

それからずっと今まで走り続けている。僕が僕の個人的な話をすることは、これまでの人生でたくさんあったけど、それはもう一人の僕の個人的な話であったと、改めて思う。

 

自分の容姿が良かったら、俳優が向いていたんじゃないか、なんて思うことも結構真剣にあった。演じることは難しくないし、むしろその役に没入できるから好きだ。

 

ただ、本当の僕の個人的な部分は、まだ僕の中に割としっかり残っていることは確かである。平日にこの日記を書いている時、もう一人の自分と本当の自分とのあわいに立ち往生している自分がいることを、認めざる負えない。

 

だからこそ、以前にも書いたことがあるように、僕は将来、女性または男性と一緒になることがあっても、一緒に住むことはできない。必ず一日の中で、演じているもう一人の自分を剥ぐタイミングが必要だからだ。

だからこそ、表現をする、ということを僕はやめることができない。音楽や絵、文章。こういう表現物に取り組むとき、そこにはもう一人の自分はいない。

だからこそ、僕は言語を学ぶことが好きだ。日本じゃない別の国に行くと、僕は素の自分になれる気がして、快感を得るのだ。以前海外に滞在していた時、僕を訪ねに来た人たちは皆びっくりしていた。

「お前誰?って感じだわ」と。

 

自分の個人的なことを何かで表現しないと、この世に自分がいたことがなかったことに去れてしまうような気がする。無関心っていうのが一番怖いかも。

 

学生の時からマイノリティ文学・文化・表象芸術を勉強してきて、どの作品も、とても個人的なこと、具体的には性的表現がとても多かったと記憶している。

何も身に着けない状態や性癖。こういったことって究極的に個人的なことだと思っている。そういうことを表現したいと強く思う気持ち、わかるなぁと思う。

こういう気持ちに、僕は常に開かれていたいと思う。

 

前にご本人にお会いしたことをきっかけに、興味をもった小沼理さんというライターさんがいる。僕と同い年か一個上だ。彼はゲイなのだが、彼のエッセイを読み終えて、改めて自分のことも見つめ直すきっかけになった。

 

おすすめだ。

www.kashiwashobo.co.jp