HONEST

猫好き・植物好き・ラジオ好きの齢32歳。日々の学びや気づきを、文章とイラストで自由に記録していきます。

12月28日 豊かな人生とは

日曜日、

 

 

「自分の頭で考えることを放棄してしまっていないか」

このままではまずい。そう思ったきっかけは、自分で考える機会も余裕もなくなっている、そう自覚したからである。

僕は、新卒で入った会社で約7年、そして今の会社に移ってからはもうすぐ4年が経過しようとしている。昨日書いたように、だいぶ今の会社にも慣れてきて、一つ一つの行動や言動に自信が持てるようになってきた。でも、ここまで来るまで本当に長かった。前職と現職の一番の違いは、物事が進んでいくスピード感である。

前職も現職も一族経営であるけれど、現職は創業者がまだ存命で社長職に就いているから、とにかく意思決定のスピードと、それを実行に移すまでのスピードが速い。

正直言うと、僕はそういうスピードの速さを求めていた。前職ではずっと中国を担当していて、日本の企業は本当に意思決定が遅いから嫌なのよと、いつも言われていた。そういう背景もあって、物事がどんどん進んでいく会社で働いてみたいと思っていた。

現職に移ってみて、その目的は達成できたと思っている。新しい物事が決まる速さもそうだけれど、どちらかというと会社のTOPが決めたことを、現場の行動レベルまで落とすのに一日くらいしかかからない。

「時は金なり」「チャンスの神様は前髪しかない」というように、ビジネスにおいてスピード感は間違いなく大切だ。降りてきた指令に対して、全員が一丸となって取り組む。「一致団結」とか「One Team」とか、よくこういう言葉で語られて、賞賛の目を向けられることが多いと思う。僕も、はじめのうちはこの勢いに魅力を感じていた。

ただ、自分が中間管理職になってから、少しずつ気が付き始めたことがある。

それは、スピード感を持って一致団結して何かに取り組むということは、逆を言えばとにかく言われたことに忠実にこなしていく、ということであることに。

経営者は、そのカリスマ性や、これまでの経験から意思決定をする。それ自体は素晴らしいことである。ただ問題は、その配下の人々が何か自分の頭を使って考える、ということをやらなくなってしまうことだ。なぜなら、「本当にそれが正しいのか?」「その意義は?」なんて疑っていたら、スピード感が落ちるからである。

新しい取組だけではない。普段の仕事も、割とこの傾向があるように思う。沢山やることがある中で、とにかくアウトプットを出さなければいけない。そうなると、誰かが決めたこと、誰かが過去にやっていたことをベースにして、あとは実行に移すだけ、という構図が出来上がってしまう。

まるで軍隊である。というか、ロボットかもしれない。いや、工場労働みたいなものかもしれない。そして、そういう資源としての一人に染まった人間が、良い評価を受ける構図が出来上がっている。

こういう状況に3年以上いる中で、日常生活においても自分の脳みそを使えなくなっている気がした。効率性、スピード重視で、細かく考えない。同じことを繰り返していくだけ。別にそれはそれで良かった、というより日常生活で使うための脳内体力が残っていなかった、という方が正しいかもしれない。

”豊かな人生とは何か”

スピード重視の会社であれば、その分高い売上をたたき出し、新しいビジネスがどんどん生まれて、昇給も昇格も早い。だから、正直言うと、僕は想定していなかったスピードで収入が上がっている。でも、それって”豊かな人生”って言えるのだろうか?

経済的に苦しいのは辛いけれど、ある程度の収入があって、あとはしっかり自分の頭で考え、選択し、ちゃんと大切に一つ一つを楽しむ、こういうことが豊かな人生を作っていくのではないだろうか。

この半年くらい、それに気が付いて、「自分たちの頭で考えること」を自分自身も、チームメンバーにも伝えるようにしている。それでも、細かく精緻に考えることよりも、そういうのは良いから早く進めて、の方が評価されるということが分かった。

別に批判しているわけではない。そういう行動を起こしてみなければ、分からなかったことであるから、良い経験だったと思っておきたい。

こういう経験を通じて、自分がまるで軍隊の一人やロボットみたいに思えてしまった時、”だれかに価値を届ける”というビジネスの本質にたどり着けるのだろうかと、立ち止まってしまったのだ。

”それって本当にお客さんのためになるの?”っていうのを疑う余地もない状態で、本当に求められるものを作れるのだろうか。

時間がかかりすぎるのは良くないけれど、全てが上から降りてきて、厳格なルールに縛られて、という環境、すなわち一切頭を使わなくてよいという環境では、そういう風に考える習慣さえ奪われかねないのである。

そういう危機感が募った時、僕は”このままではまずい”と深刻に感じたのである。

我々は、何か比較対象がなければ、物事の良し悪しは語れないと思う。その意味で、今の会社で働けていることは、私の人生において極めて重要な体験となっている。

でも、そろそろ飛び立つ時が来たのかなと、真剣に思い始めてみる。

 

思考停止は、人生を豊かにはしないと、僕は思う。