水曜日、
「耳鳴りがする」
目が覚めて最初に覚えた感覚。まるで水中の中に身を潜めている時のような、そんな感覚。掃除をする頃には少し症状はおさまっていたけれど、ブワァンという感じがずっとしている。
寝不足だ。睡眠が足らないといつもこうなる。
そして、仕事をしている最中、
「あれ、ねんか焦点が合わない」という違和感を右目に覚える。コンタクトが目の中で折りたたまれてしまっているようだ。つまり、右目だけコンタクトが外れている状態。そんな状態でパソコンを見ていると、まるで酔っているような感覚だった。
寝不足だ。睡眠が足らないといつもこうなる。目が乾燥しているのだと思う。
つまり、今日はとても体調が悪かったのだ。自分自身のコンディションが悪い時は、周りの人への気遣いがつい疎かになってしまう。今日もそんなことを実感した日だった。
同じチームのメンバーで、今日が最終出社のメンバーがいた。僕はまだ入社してから1年も経っていない新入りだから、そこまでその人との関係性は深くないのだけれど、その人はもう5年も今の部署で働いていたから、とても顔が広い。
最終出社ということが分かると、多くの人が彼女の元に立ち寄って言葉をかけていた。それ自体は、とても理解できる風景なのだけれど、一個だけ疑問に思うことがある。
「あなたが今発しているその言葉、それ本当に思ってる?」ということ。
例えば今日みたいな最終出社の時って、多くの人がやってくるけれど、その中には決して別に仲良くなかった人も混ざっている、というか周りの雰囲気に合わせてなんとなくやってきて言葉をかけるっていう人も結構いると思う。
僕は1年前、まさにこの立場だった。去る側だったのだけど、ひとたび退職することが分かると、これまでまともに話したことがなかったような人が、うわべだけの挨拶をしに来ているような感じがした。そういう行為はとても嬉しい、それはやまやまなんだけど、僕自身その人に対して特に何か意識しているわけでもないから、返答やリアクションにとても困ってしまうのだ。退職をする、となると、退職をする人はお世話になった会社に対して、「ますますのご健勝を・・・」みたいなことは言ってくれるよね?っていうような雰囲気がある。これも好きではない。
この1年間の中で、僕自身が退職の体験をし、同時に周りで多くの人が退職をしていった中、本当に心から悲しいと思ったことって1個しかなかった。僕のメンターだった女性が退職してしまった時だ。正直、大大大ショックで言葉が出なかったし、どういう言葉で表現すれば思いが伝わるか、見つけられなかった。
多分、本当に分かれを惜しむ時ってこういう風になるんじゃないかなぁって思うんだよね。
だからどうしても、今日みたいな場で第三者の立場から様子を見ていると、どうも冷めてしまうし、自分自身も何か言わなければいけないという雰囲気が嫌いだ。
ただ、一個だけ変わらない事実がある。それは、お世話になったということ。
その会社に所属していた以上、関わっていた人たちには、何かしらサポートをしてもらっていた。僕と話してくれた、僕と会議に出てくれた、僕の相談に乗ってくれた、一回でもそういうことをしているなら、それはお世話になったのだ。
お世話になったなら、感謝の気持ちは伝えなければいけない。ただ、それを誠実に伝えることで、それでよいと思う。
金魚の糞のように、ぞろぞろと雑談を続けるような、そんな去り際のコミュニケ―ションはうんざりだけど、潔くお世話になったことに対して「ありがとうございました」と言う、これはどんなパターンでも変わらないなぁと思った。
リアクションや対応に困る、という意味で別れが苦手な僕のような人は、是非感謝を伝えるタイミング、ととらえてみてほしい。少し楽になると思う。