日曜日、
金曜日に久々に仕事に復帰してから今日に至るまで、実をいうと結構落ち込んでいた。
というのも、数日前に少し書いた通り、今年の冬のキャンペーン向けに進めていたTVCMが見送りととなったからだ。
とある事業に全てのリソースを注ぎ込んでいる関係で、それ以外の事業部はいま、予算の見直しを迫られている。
TVCMは、他のプロモーションと比べて桁が一つ違う。どんなに安かったとしても、制作費などを含めると1億円はかかってしまう。制作費がかかるということは、その分のリターンがなければ回収できないのだが、それはある程度の放送エリアを確保する必要があるということだ。
つまり、その分TV番組のCM枠を購入するということになるため、結果として制作費~放送料まで含めると、莫大なお金が動くことになるのだ。
散々その回答を待って、結果として見送りという回答を金曜の夜にもらい、そのまま土日を迎える羽目になった。正直やってられないと、この二日間は思っていた。
ただ、広告企画職に携わっている人々の本をこの土日で読んでいる中で、むしろこの逆行は美味しいのではないか、とポジティブに捉えることができるようになってきた。
1冊目は阿部広太郎さんの『あの日、選ばれなかった君へ』
2冊目は、澤田智洋さんの『マイノリティデザイン』だ。
お二方とも広告代理店でクリエーティブ職に携わられている方である。これらの本に共通しているのは、失敗や自分のコンプレックスというのは、むしろ新しい発想の種になるということである。
あの時の失敗があったからこそ、という逆転の発想。
自分はこれが苦手だからこそ、そんな自分が楽しめるような企画を作るという、企画の主体としてのコンプレックス。
考えてみたら、どのドラマだって、映画だって、アニメだって、何かしらのトラブルや困難が必ず起きて、それがあるからこそ物語がドラマチックになっていく。
全てが自分の思い通りになってうまくいく、なんていう人生はむしろ単調すぎて飽きてしまうのかもしれない。
今回、ずっと練ってきたTVCMは難しいということになったけれど、幸いなことに予算は削減されていない。CMに使わない分だけ、他のプロモーション施策を考えられる余地が与えられたのだ。
確かに、TVCMは影響力もあってそれなりに効果もあるかもしれないけれど、特に新しいことは何もない。
こんな逆境の中、あれこれと脳みそに汗をかいてやった企画が、結果ヒットしたら、その時の感動はとても大きなものになると思う。
逆行があるから、人生は物語性を帯びる。さあ、逆行を味方につけよう。
そうやってどんどん成長していけばいい。