土曜日、
今日は、母の誕生日。あらかじめ、プレゼントは買って送っておいた。
母の大好きなお菓子「山田屋まんじゅう」
化粧箱に入ったギフト向けの詰め合わせだ。
お昼ごろ、母からのLINE。
無事に届いたのかな。そう思ってLINEを開く。
「プレゼントありがとう!猫たちが喜んでるよ~」
実家には猫が3匹いる。どんだけ実家に帰っていない僕でも、それは知っている。
でも、今日は猫たちの誕生日ではない。3匹とも違う。
というか、3匹とも元野良猫&保護猫だから、誕生日とかは知らない。
ん?
そう思っていると、
「ピコん」「ピコん」「ピコん」と3枚の写真が届いた。
1枚目。
「山田屋まんじゅう」と書かれたオリジナル段ボールに入ってくつろぐ、猫の写真。
2枚目。
高さのある化粧箱におさまって寝ている、猫の写真。
3枚目。
山田屋まんじゅうの紙袋の中に入って、目を真ん丸くしている猫の写真。
なるほど、そういうことか。
3匹中2匹は、箱が大好きで、段ボールを持った宅配業者が確認でき次第、玄関に一緒に出てくるらしい。
そこからは、段ボールの取り合いだ。
そしてもう1匹。この猫の好物はスーパーのビニール袋。
山田屋まんじゅうに付属されていたのは紙袋だったのだけど、どうやら袋ならなんでもいいみたいだ。
「うちの猫たちは幸せです~ありがとうね~」
追加で母からのLINEが届く。完全に、母向けのプレゼントは、猫たち向けのプレゼントとなったのである。
その後も、母のインスタアカウントには、さっきの写真がアップされている。相当嬉しかったようだ。
それならそれで、僕としては結果オーライだから全然OK。もちろん、中身の山田屋まんじゅうは、冷蔵庫とかに移されたのだろうし、問題なしだ。
この、ひと時のやり取りを通じてちょっと思った。
贈る相手に向けたプレゼント、これがギフトである。
でも、一番喜ばれるものって、その相手が大切に思っている人や存在を、喜ばせることができるものなのかもしれない。
最近の母は、この猫三匹のために生きているようなものだ。毎日写真が朝晩送られてくる。
インスタの投稿頻度も格段に上がっている。
こんな、目に入れても痛くない猫たちが喜んでいる、それがきっと嬉しかったのかもしれない。
たしかに、こんな話を聞いたことがある。
父の日のギフトを忘れずに贈る。実は一番ありがたいと思っているのは、母親らしい。
満更でもない様子の父を横目に、母が一番喜んでいる。
敬老の日のギフトを忘れずに贈る。実は一番ありがたいと思っているのは、両親らしい。
とても嬉しそうにしている祖父母を横目に、
あー喜んでくれてよかったと、一番嬉しく思っているのは両親らしい。
ギフトを考えるとき、もちろん贈る相手が最優先。
でも、ちょっとずらしてその周りの人々を考えてみる。
すると、今までよりもちょっと気の利いたギフトが選べるかもしれない。
すてきな1日だった。