HONEST

齢31歳。音声コンテンツ好きの僕が、日々の学びや気づきを、文章とイラストで自由に記録していきます。

2月10日 頑張らなくていいよ

土曜日、

 

しんと静まり返った湖畔。もうすぐ夜が明けるというタイミングだ。山の向こうが少しずつ赤みを帯び始め、だんだんとオレンジ色の部分が増えてくる。ゆっくりゆっくり太陽が顔を出して、まるで互いを真似っこしているかのように、太陽の光と山々の影が、そのままそっくりと湖畔に映る。それくらい、空気が澄んでいて、そして風一つなく水面が穏やかなのだ。

太陽の光を浴びて目を覚ました鳥たちが、湖にやってきて湖面にゆっくりと降り立つ。湖も少しずつ目を覚まし始める。

小鳥が落とした木の実を追って水中に潜ってみる。魚たちもやっと目を覚ましたようで、ゆっくりと水草の間を泳いでいる。光が差し込んでまるでカーテンのよう。水上と水中、湖面一枚挟んだその二つの空間は、矛盾もなく両方とも穏やかだ。

 

本当はこうやって、物事は矛盾なく寄り添っていけたらいいのに。でも決してそんなことはない。

こんなにも穏やかで美しい景色が広がっている同じ時間に、ウクライナとロシアの国境付近では戦争が続いている。

親戚一同が集まって幸せな食卓を囲っていたその時に、能登半島では大きな地震が起きて壊滅的な状況を強いられている人がいる。

理想の自分を目指して一生懸命努力しているのに、その理想とは逆の自分が常に目の前に現れてくる。

自分はこんなにも元気なのに、今にも死にそうなくらい深刻な病気で戦っている家族や恋人がいる。

 

この世の中は矛盾だらけだ。

 

そんな矛盾した世界を俯瞰して捉えると、今この現状にも、少し先の将来にも、全く貢献できていない自分がいて焦る。だから、目の前にあることに飛びついて、とにかくが今できることに手を付けてしまう。でもそれは不本意だか疲弊する。今この瞬間の自分ができること、やっていることなんて、一ミリも周りに影響を与えていないことを知る。また疲弊する。そうやって摩耗する。何も残せない。変えられない。

 

でも、紛争地で震えている人のことを祈り続けることは出来る。

被災地で寒さに耐えている人々のことを祈り続けることは出来る。

理想の自分に向けて頑張っている自分を愛することはできる。

今にも死にそうな人の回復を祈ることはできる。

 

どれもこれも正直効果はないし、脆いし、何かのきっかけで忘れてしまうだろう。それでも強い。こういう思いは伝わると強い。

数年、数十年経って、その時と当時とでは全然景色が違ってしまったとしても、人も空気も変わってしまったとしても、ふと、きっと思い出すのは、その時祈った強い気持ちだと思う。それは、祈った方も、祈られた方もそうだ。

 

だから、何の効果もないし、脆いし、何か別の事がまた起これば祈ることなんてすぐに忘れてしまうけど、でも将来に過去を振り返った時に唯一残っているものだから、強い。

 

だから、今何もできなくて自分を責めるような人がいたら、責めなくていいよと言いたい。

だから、頑張り過ぎてしまっている人がいたら、そんなに頑張らなくていいよと言いたい。

きっといつか将来になって今を振り返ったら、今を好きになれるから。今の自分をもっと好きになれるから。もっと他人を好きになれるから。だから慌てなくていいよ。

 

 

朝日新聞ポッドキャストで懐メロについて紹介されていた。その中で、当時の僕にものすごい影響を与えた歌があった。それが、bankbandのto Uだ。

omny.fm

 

この曲を改めて聞いてみて、今の自分を信じてあげられていない、ということを痛感した。

なりたい自分、作りたいチーム、出したい成果と、今目の前の現状のギャップが大きすぎて本当に焦る。焦るから、使える時間は全て使ってどうにかしたいともがく。でも、的を得ていないから疲弊する。

ちゃんと自分を愛そう。その優しさは、将来何年かたって今を振り返ったら、唯一心に残っているものだと思うから。

 

是非皆様も聴いてみてください。