月曜日、
左奥歯の仮歯が外れた。昨晩、お盆期間中に中国に行ってきたという後輩からもらった餅菓子を食べていた時の話である。
「ガムやグミ、おもちとかは基本的に食べないでくださいね」
そう言われていたことを、すっかり忘れていた。口に入れて嚙み始めた時は、もうすでに遅かった。
「ガリっ」変な鈍い音。
時刻は既に22時を回っている。明日電話しようと思い、昨日はそのまま寝た。そして今日のお昼。早速電話をしてみる。
「お名前フルネームと、あとカルテ番号を教えてください」
電話に出た受付の女性から指示を受ける。カルテ番号!?これまでも何度も電話しているが初めて言われた。
これは手元に診察券がないと分からない番号である。
モゴモゴしていると、明らかに不機嫌そうに
「じゃあ生年月日でもいいですよ」と付け加える。
助かった。
本人確認が終わり、いざ予約。できれば今日行ってしまいたい。
「そうですねぇ。遅い時間だと今日は厳しそうなんですけど、どうしても今日じゃないとだめですか?」
おおお、そういう返答か、とちょっとビックリ。これまで対応してくれた人は、たとえダメでもそんなことは言わなかったし、代替案を提案してきた。
それでも粘って何とか今日の予約に成功。
「絶対に遅れないように気を付けてくださいね」
そのように言われ電話が終わる。絶対!?世の中に絶対なんてないのである。
なんか不快だなぁと思いながら、また午後の仕事に戻る。
そして今日の一番遅い時間に滑り込みセーフで病院にダッシュ。
するとだ。先生を始め、歯科衛生士の方もみんな揃って
「わざわざ来てもらってすみません。ちゃんとつけられてなかったですかね」と。
いや、悪いのは僕なのだ。食べないで、と言われたものを食べたのは僕なのだ。なんだか恐縮である。
そして極めつけはお会計。
「今日はお会計特にありません。次回は予約済のこの日に来てくださいね」
おおおおお?お金が発生しないだと。また恐縮である。そして、
「あ、これ先生からです。わざわざ来てもらっちゃったので」
そういって、業務用の歯磨き粉と病院でも使っている業務用のモンダミンをもらう。
受付から出口まで、ペコペコしながら出てきた。
おい、ツンデレかよ。いい気分になっちゃったじゃないかよ。デレツンは嫌だが、ツンデレは悪くない。