HONEST

齢31歳。音声コンテンツ好きの僕が、日々の学びや気づきを、文章とイラストで自由に記録していきます。

5月6日 信じること

月曜日、

 

 

僕は、どちらかというとインドア派で、外でスポーツをするよりも、室内で絵を描いたり、ピアノを弾いたりすることが好きな子供だった。

そんな僕が、ものすごくスポーツに影響された経験がある。それが、2008年の北京五輪である。この年の8月、僕は人生で初めての受験というものにぶち当たっていた。

家計的にも余裕がなく塾にも行けなかった僕は、参考書を買ってもらって、とにかく自力で勉強をした。吹奏楽部は、他の運動部よりも引退が遅く、8月のお盆のタイミングから受験生になった僕は、とにかく焦りに焦っていた。

もちろん全然勉強が出来ない。偏差値が上がらない。そんな中で、テレビから漏れてきた音が、北京五輪の実況中継と、ゆずの栄光の架け橋である。当時はYouTubeがまだそこまで普及しておらず、映像を見る術はなかったのだけれど、吹奏楽部だったこともあって、ipodみたいな音楽機器は割とちゃんとしたものを揃えていた。

その時に、支えられたのが、ゆずの『栄光の架け橋』である。

 

夏休み、塾に行かずに家庭学習で勉強している受験生にとっては、昼食を食べた後の午後のスロットは極めて集中が難しいタイミングだと思う。ついつい、睡魔に負けて昼寝をしてしまうこともあった。

そういう日の夜、寝る前にものすごい後悔が襲ってきて、同時に不安になる。家族はとっくに寝てしまった1時くらいに、1階に降りてNHKを付けると、この栄光の架け橋と共に、その日のオリンピックのハイライトがやっていたりする。

夜の時間というのもあったのだと思う、僕は結構な頻度で泣いていた。それは、自分が情けないっていうのもそうだけど、こんだけ努力している人が居るっていう、その姿勢に単純に感動していたのだと思う。

 

そして何より感動していたのは、選手たちの信じる気持ちに対してだと、今振り返って思う。みんな口々に言っていたのは、ここまでやってきた自分を信じていた、とか、実力は劣っているかもしれないけど、努力は何かしらの成果を生むと信じていた、のような言葉である。信じることってすごいパワーになるんだな、と思っていた。

 

と、ここまで書いて思い出したのが、谷川俊太郎さんが作詞をされた『信じる』という曲である。

当時、僕がNHK合唱コンクールに出た年の、中学生の課題曲だった。その歌詞は、主に3部構成になっていて、各ブロックで「私を信じる」「あなたを信じる」「世界を信じる」という風に信じる対象が広がっていく。

そしてこの曲の最後は、「信じることは生きるみなもと」という言葉で締めくくられている。

 

まず、今の自分自身を、素の自分自身を信じてあげる。そして、例え他の人が信じてあげなくても、私はあなたのことを信じているよ、という風に他者を信じること、そしてこの世界を信じることで、明日に繋げるような、そんな歌詞である。

 

アスリートたちの努力は、もう想像がつかないレベルだと思う。そんな彼らでも、練習に加えて大事なのはメンタル、特に信じる気持ちだという。

 

当時の僕のことを振り返っても、このアスリートたちの信じる気持ち、それから、ゆずの「栄光の架け橋」の”だからもう迷わずに進めばいい、栄光の架け橋へと”、の部分。この信じるという彼らのメッセージに、本当に感銘を受けていたのだと改めて思った。

 

それ以来、僕は五輪もそうだけれど、世界陸上とか駅伝とか、そういうスポーツの大会では選手の姿を見て毎回感動してしまうようになった。

 

実は今日このエピソードを思い出したのも、池井戸潤著『俺たちの箱根駅伝』を今ちょうど数分前に読み終わったからである。

 

あまりこの本の紹介にはならなかったけど、是非読んでみてほしい。

そして、信じることの強さに気づいてほしいと思う。