HONEST

齢31歳。音声コンテンツ好きの僕が、日々の学びや気づきを、文章とイラストで自由に記録していきます。

12月30日 眩しい姿

土曜日、

 

 

「彼らは本当に学生なんだろうか」

 

毎朝のルーティーンであるジョギングをしながら聞いたVoicyの放送を聞いて、最初に出てきた感想である。

voicy.jp

「あの夏を取り戻せ」。3年前のコロナによる甲子園中止をきっかけに立ち上がったプロジェクトである。戦後初となる夏の甲子園大会の中止。学生によっては、小さい頃からここで戦うことを目標に、ひたすら練習をしてきた人もいると思う。

不完全燃焼。

この年の球児たちの多くは、この思いを胸に卒業していったとのこと。大学に進学している者もいれば、就職している者もいる。でも、どうしても当時のことが胸に引っかかって、先に進めない。ずっとその場所に留まってしまっている。

コロナが明けた今、立てなかった舞台を再現し、次のステップに進もう。そういう思いで始まったプロジェクトが、「あの夏を取り戻せ」プロジェクトである。

www.re2020.website

 

発起人も運営も、基本的には全て学生たちが行うというプロジェクト。必要経費は7,000万円。それを全てクラウドファンディングと協賛によって集め、最終的には実現させたという。その有限実行力に脱帽だ。

発起人の学生が表に立ってメディア対応などを進める裏側で、統括本部としてプロジェクトを進行していた学生がいた。この放送は、そんな2人にインタビューした内容となっている。

声のトーン、言葉遣い、溌溂さという表現の輪郭はもちろんのこと、紡ぎ出される言葉に実感が伴っており、迷いがないとは言えないが、戸惑いはない。確信をもって自分の意見を伝えている。

僕はこの言葉の輪郭と中身に、学生離れした二人の姿を見た。

 

きっと多くの大人と話してきたのだろう。多くの人の前で説明をしてきたのだろう。批判もあったに違いない。それに対して、真摯に受け止めて言葉にしてきたのだと思う。

そうやって磨かれてきた言葉遣いに、達成感という実感が伴って、説得力を帯びている。

そして何より彼らはとても謙虚なのである。

少なくとも、一般的な学生と比べたら、経験したことや学んだことは計り知れないと思う。にも関わらず、政治家のような上から目線やいやらしさ、だったり、インフルエンサーにあるような「青臭さ」みたいなものが一切感じられない。残るのは、爽やかさだけだ。

インタビューの中で何度も出てくるが、大変な局面が数知れずあり、「何とかしなきゃいけない」と腹をくくるタイミングが幾度となくあったという。

もちろん、自分たちで工夫して解決していったこともあるが、周りの大人に助けられて、時には板挟みにあい、そういう経験を積んだ結果、

「成長した」のではなく、「成長させてもらえた」と最後に語っていた。これは、学生の口からなかなか出てくる言葉ではないと思う。それほど、リアリティを伴う体験をしたのだと思う。

 

「ゴールだけあって、今いる地点からそのゴールに向かうためのルートを考える。地図を作るみたいな作業でした」

「誰かが病気になってもプロジェクトが進行するように、全員での情報共有を徹底しました」

「判断しなければいけないタイミングがたくさんあったが、えいや!で決めたことは一度もなかった。必ず、自分たちは何を最優先事項としているのか、というところに立ち戻って決断を下していった」

彼らのコメントである。

 

僕は、社会人8年目だけど、言語化してこういうことを即座に言える自信はない。心から見習いたいと思う。

 

そして、彼らが言っていたことでもう一つ印象に残ったこと。

「本気になれば、知恵は出る」という言葉。

 

学生時代、例え自分がやろうと思っていたことができなかったとしても、その過程で評価されることがほとんどだったし、そういう自分を認めてくれる人がいた。

「そこまでやったんだから、結果が出なくても十分だよ」そういう感じだ。

 

ただ、クラウドファンディングや企業協賛でお金をもらっている以上、それでは許されない。だから、なんとかしなければいけない。そういう状況に追い込まれたら、知恵は出る、ということなのだろう。

誰かが助けてくれる、社会人になった今でも僕はそういうことを思ってしまう節がある。

彼らの覚悟や姿勢、尊敬を超えて、眩しかった。