月曜日、
緑柱石。この名前を聞いて、ビビッと来た人は、僕と同じあるアニメが好きな人かもしれない。実は、二つのアニメに分かれる。一つはブラックジャック、もう一つは耳をすませばである。
僕は断然後者の方だ。
緑柱石というのは、エメラルドの原石が含まれる鉱物である。この石のままでは、宝石とは言えない。この原石を、丁寧に丁寧に、時間をかけて磨き上げていくことで、美しいエメラルドの宝石になるのである。
耳をすませばで、聖司君の祖父が、雫が書いた小説を読んだ後で、彼女に伝えた話である。
雫が書いたその小説も、その緑柱石みたいなもの。尖っていて、荒々しくて、ゴツゴツしている。
でも、やっとこの原石を見つけるところまで、たどり着くことができた。雫は、小説家になりたいという夢に向かって駆け出し始めた中学三年生。
ただ、小説家になりたい、物語を書きたいという思いだけで、ずっと過ごしてきたけど、聖司に触発されて物語を書き始めるのである。
そして気がついた。書きたいだけじゃだめだ、もっともっと勉強しなければいけない、と。だから、高校にも進学すると決めた。
そして、聖司の祖父は、もう一つのエピソードを話す。
この緑柱石の中にあるエメラルドの原石には、磨き過ぎると、かえって輝きを失ってしまうものもあるのだ、と。
ようやく発見した自分の原石。そして、その原石の中にひっそりと隠れている、素のままが一番美しいエメラルドを、忘れないようにしなさい、と。
僕はこのシーンが本当に大好きだ。このシーンの裏で流れる追憶という曲も、また雰囲気を出している。
芸術家の卵たち、彼らは原石を持っているはずである。
ただ、その原石自体をまだ見つけられていない人が圧倒的多数で、その原石を見つけられないまま一生を終える人だって少なくない。
そういう芸術家たち、中でも美大生に焦点を当てた取り組みについて、今日Voicyの番組「荒木博行のブックカフェ」で話を聞いた。
磨いてしまうと失われる光、でもその光を持っていることにすら気づけない、つまり世に出す機会がない人が多すぎる。
ここで紹介されている取り組みは、美大生たちの作品をレンタルする取組。これ、是非僕は何かしらの形で参加したいと思う。