月曜日、
「パンとプリン2個ずつ買ってきて」
明日面会に行く母に対して、入院中の祖母から届いたLINEである。

蜂窩織炎で年始から入院している祖母。最初はずっと弱気だったけれど、ここ最近回復してきて、やっとお風呂にも入れるようになった。
歩くと足から水が出てしまうため、トイレも紙オムツで対応。それが、やっぱオムツが外れたという。
今年の誕生日は病院で迎えた。御年96歳である。96年生きてきて、誕生日を病院で迎えるのは初めてだという。今年の誕生日が、図らずも病院のベッドの上になってしまったということは、その分、来年の誕生日の祝い甲斐があるね、そんな風に話していた。
そんな祖母から届いたメッセージが、パンとプリンが欲しい、である。
プリンは昔ながらのプッチンプリン、パンはもちもちしているとか、そういうんじゃなくて、あんぱんとジャムぱんが食べたい、とのこと。
あんぱんとジャムパンって、そう言えばここ最近自分から買うっていうことがなかったなと、ふとそんなことを考えた。
戦争も経験している祖母は、芋とか、かぼちゃとか、昔よく食べたそういう穀類を好まない。
昔から、味噌汁よりもコンソメスープを好み、和菓子よりも洋菓子を好み、お米よりもパンを好んだ。ひもじい思いをしていた時に食べたものは、極力食べたくないのだという。
そんな祖母にとって、当時のあんぱんやジャムパンは画期的だったに違いない。どちらかというと、今どきのパンじゃなくて、昔からの懐かしいパン。
でも、数十年前の記憶でも、当時感じた感動がずっと残ってるってすごいなぁと思う。
この話を聞いてから、コンビニであんぱんとかジャムパンを探してみたのだが、実は結構難しい。意外と、超オーソドックスなこういう菓子パンって、今あまり売っていないのだ。
でも、コンビニのパン売り場の隅っこの方に追いやられているヤマザキパンのコーナー。そこに、あんぱんもジャムパンも、両方とも静かにたたずんでいた。
すぐに母にLINEを送る。
コンビニのパン売り場に行ったら、ちょっと目立たないところを探して。
あまり売れている印象がないこういうパンたち。でも確実に需要はあるみたい。長い間、ずっと誰かを支えているようだ。
祖母には長生きしてほしい。