HONEST

齢31歳。音声コンテンツ好きの僕が、日々の学びや気づきを、文章とイラストで自由に記録していきます。

8月3日 当事者の声

木曜日、
 
コロナ療養中ということもあって、話題の『ハンチバック』を読んでみた。とても短いから、すぐ読めるかなと思っていた。
 
時間的にはその通りで、すぐに読み終わった。ただ、何とも濁った渦のようなものが体の中に残ってしまった。
 
細かい内容は書かないけれども、体に障害をおった女性の話で、
具体的には筋疾患先天性ミオパチーによる、症候性側彎症による苦しんでいる。そして、人工呼吸器を使用しており電動車椅子必須の生活を余儀なくされている。
痰を吸引器具を使って定期的に取り除かないと、呼吸困難に陥ってしまう、そんな主人公である。
 
生まれながらに、周りの人と比べて極端に生活が制限されているとしたら、僕はどんな風に思うだろう。
恐らく、周りの人の考え方と、経済力に大きく影響を受けると思う。
 
経済的にも厳しく、周りにも家族以外に頼れる人がいないとなれば、性格はねじ曲がり、マイナス思考になるだろうし、逆に経済的に豊かで、いつも笑っている人の周りで生きていたら、ポジティブに生きていけると思う。
 
ただ、周りがどんな状況であっても、影響を受けづらい個人的なこととして、性欲があると思う。この話も、そんな当事者が抱える性欲に関して綴られている。
正直、僕にとっては衝撃的であった。
 
ただ、身近にいる健常者の間では、男女問わず、性欲はどのように処理されるもので、男女間や同性間によって、どういう行為が行われているか、そして夜の風俗とはどういうところなのか、経験がなかったとしてもある程度の想像は出来るだろう。
30歳の僕にとっては、とても簡単に想像ができる。
 
ただ、自分がもし、そういう世界とは別の世界に生きているような、そんな現実を突き詰められた時、想像が想像を読んで、爆発するかもしれない。
 
ちゃんとは分からないけれど、性欲はどんな人にだってあると思うし、人の性欲を笑うことは絶対にあってはならないと思う。
一方で、笑うことがなかったとしても、理解できる・できないは、また別の話だ。
 
こういう個人的なところを理解してもらえること、って、実は心に深く空いた穴を埋めてくれることなのかもしれない。
 
その意味で、自身も重度の障害を抱える作者が、この小説を書いたことは意義が大きいと思う。
なかなか表にできない性欲という、でも誰もが持っているのに障がい者ということで、日常の話題にも出てこないようなそんなトピックを、何かを投げつけてくるように書くこの文体は、圧巻だった。
 
確かに理解しようとすることは大事、だけど、改めて思ったことは
「理解した」なんて軽々しく口に出して言えないということだ。