日曜日、
「ポッドキャストやラジオ業界で有名なパーソナリティは誰か?」
こう問われたら、音声コンテンツ好きの人達がだいたい答えるだろう人が何人かいる。
意見の辛辣さやトークの回しはもちろん大事なのだけど、声フェチの僕からすると、やっぱり良い声&良い発音の人だと、聞いていてうっとりしてしまう。その中の一人が、元TBSアナウンサーの堀井美香さんだ。僕は堀井さんの声が好きすぎて、自分が担当していた昨年の春先のTVCMのナレーションの候補に、誠に勝手ながら堀井さんを提案していた。
そんな堀井さんが本を出した。しかも、堀井さんが自分で朗読しているバージョンがAudibleで聞けるのである。ということで2日間で完聴した。
元々、ジェーン・スーさんとのポッドキャスト番組「オーバー・ザ・サン」でも紹介していたから、ざっくりとした内容は想像できていた。
50歳にして”沖に出た”。新卒からずっと務めていたTBSをこのタイミングで退社して、フリーになってからの1年を綴ったエッセイである。
聞いた感想としては、想像以上に良かった、である。
まず、50歳で現役バリバリに働いている人、というのが今の僕の周りではあまりいない。今の会社は、シニアマネージャーでさえも40代だし、多くのスタッフがキャリア採用で、数年間自分を鍛えるために来ているから、年嵩を増した人がいないのだ。
以前勤めていた会社はその全く逆で、多くの社員が定年まで働くから50代の現役社員はめちゃくちゃいたのだけど、ここまでやる気・野心に溢れている人は見たことがなかった。
もちろん、堀井さんの能力やバイタリティは言うまでもないのだが、何か新しい挑戦をしようとした時、ちょっと仕事で失敗してしまった時、やる気を失ってしまった時、迷っている時などなど、堀井さんの周りにはいつも素晴らしい人が登場して、彼女を応援してくれている。その結果、フリーとなる前から、そしてフリーとなってからも、色々あるけど何とかやってこれている。
堀井さんの家族、TBS時代の同期・先輩・後輩、アナウンサー時代に知り合った他業界の人々、スーさんを始めとするラジオ業界のパーソナリティなどなど。何か一つにどっぷりと浸かっているわけではないのだけど、あらゆるところにちょこっとずつ浸かる先があるように思えたのだ。
50歳。今の時代、まだまだ現役で働く年齢だとは思うけど、決して若いとは言えない。このタイミングで”沖に出る”、つまり独立というのは、結構なエネルギーを使うだろう。
そんな堀井さんの挑戦を支えているのは、あらゆるところにいるサポーター達なのだと思う。
そんな堀井さんの話を聞いた後で、今朝ランニングしながら聞いたVoicyが見事にリンクした。こちらも、Voicyではトップパーソナリティの1人と言える尾石はるさんの放送だ。彼女もまた、ずっと外資系で長く働いてきたが、数年前に独立して、いまは仕事をしつつ、大学院に通っている。
「自立とは依存先を増やすこと」
この言葉は界隈では有名で、僕もこれまで読んできた本の中で何度も引用されていた。自身も障害を抱えながら、東京大学で准教授をされている熊谷さんの言葉だ。
熊谷さんによると、障がい者は健常者と比べると依存先が少ないから生きづらいのだという。
なるほど、確かにそうかもしれない。私たちには動く腕があり、足がある。上の階に行きたいときに、あらゆる手段を頼ることができる。でも車椅子だったら、頼る先はエレベーターしかない。こういうことなんだろう。
何か大きなもの一つにどっぷりと依存するのは危険だ。
親や友人、会社などなど、とにかく一つのものにそれだけを徹底的に頼り切るのは、その存在がなくなった時に大変なことになる。
だから、小さくていいから依存先をたくさん持っておくこと、それが自立していくためには必要不可欠なのかもしれない。
まさに堀井さんがそのお手本だと思う。
僕は、、、圧倒的に依存先が足りていない。今年はもっと多くの人を頼っていきたいと思う。