土曜日、

ついにまた一つ歳を取ってしまった。
年齢を重ねれば重ねるほど、時間の経過が速く感じられる。ついこの前まで2024年の年末だった記憶なのだが、気が付いたらもう今年もあと3カ月だ。そりゃあ知らない間に僕も年を取るわけだ。
ちゃんと誕生日を祝ったのは大学生までだと思う。社会人になると、途端に誕生日が自分にとって特別な日ではなくなる。自分というよりも、親に対して感謝する日に変わると思う。
社会に出てみて、自分で家計をやり繰りするようになって初めて分かる親のありがたみ。だから、別に自分のために何か祝うというよりも、両親や祖父母に連絡を取るようにしている。
誕生日をそんな感じに捉えるようになって10年が経過。自分に対してプレゼントとか、ご褒美とか、そういうイベントでは一切なくなっている。だから、誰かから誕生日プレゼントをもらうと嬉しい、というよりも、ちょっとビックリする。
今年の誕生日は普通の平日。そして、14時半から15時という30分以外は、全て会議で埋まっているという、ある意味忘れらない日々。前日と前々日がCMの撮影でロケに出ていたこともあり、そこで出来なかった会議が全部詰められたのだ。
朝一の会議でのこと。
「はい、これ。誕生日おめでとう」
直属の上司であるマネージャーとの会議の初っ端である。全く意図していなくて少したじろぐ。そしてそのプレゼントがラムネという、また何とも言えないゆるさ。ある意味心地よい。
次の会議はメンバーとの1on1。
「今これとこれで迷ってるんですけど、どっちが好きですか?」
そう言われて見せられたのは、ローソンのコーヒーのギフト券だ。どうやら誕生日プレゼントらしい。
「あ、もちろんSサイズで。しかも1杯だけですよ」
おおお(笑)。確かに僕は平日毎日ローソンでコーヒーを買うが、Lサイズかメガサイズしか買わないのだ。それを知ってかどうかは分からないが、Sサイズを一杯プレゼントしてくれた。
そこから会議が続き、午後一の会議。これもメンバーとの1on1。
「あ、さっきバッグの中探ってたらピュレグミありました。誕生日おめでとうございます」
おおおお(笑)余りものをプレゼントしてくれるこの感じ。力関係がよくわかる。
そしてそのまま全ての会議が続き残業中。
「何ピクミンが好きですか?」と、突然の質問。
は?(笑)
そう答えつつ、むらさきピクミンのフォルムが好きかな~と答えると、なんと紫ピクミンのぷくぷくシールをプレゼントされたのだ。そのまま、ノートPCに貼り付けた。こういうの、意外と好き。
そして時刻は18時半前後。
後ろから何かで髪の毛を挟まれた。え?と思って、確認すると「んぽちゃむ」のクリップで髪の毛を挟まれていた。
「なんか雰囲気似てるのであげます。誕生日おめでとうございます~」と、前のチームメンバーからクリップをもらう。嬉しいんだか、ショックなんだかよく分からない。
そこからは少し静かになり20時半。もうひと踏ん張りというタイミングで、いま育休中の同僚からLINEが届く。
「え?観葉植物贈ってくれるの待ってるんですけど。あ、お誕生日おめでとうございます」
と、突然のLINE。「は?まあ、ありがとう」そう返すも、全く反応がなく、既読にもならない。謎過ぎる。
そうやって一日中小さな贈り物を沢山もらった誕生日であった。
どれもこれも、別に大したことではなにのかもしれないけれど、うん、これくらいが本当にちょうど良い。相手にも自分にも負担にならないし、頭のどっかで気にしてくれてるという、それ自体がありがたい。
自分を祝わなくなった誕生日だが、図らずも誕生日プレゼントをもらって、少しだけ自分を大切にしてもいいかな、と思った日だった。
でも、それ以上に、今自分の周りに居てくれる仲間を大切にしたい、とそう思った。